一面をやわらかな白や淡いピンクの小花で覆うカーペットカスミソウは、グランドカバーとしても人気が高い宿根草です。鉢植えよりも、庭に地植えして群生させることで本来の美しさを発揮しますが、開花時期や増やし方、植え付けのコツを知らないと、思ったように広がらないこともあります。
この記事では、カーペットカスミソウの地植えに特化して、基本情報から具体的な植え付け手順、季節ごとの管理、失敗しない増やし方まで、園芸のプロの視点から詳しく解説します。
目次
カーペットカスミソウ 地植え 開花時期 増やし方の基本をまず押さえよう
カーペットカスミソウは、一般的な切り花用のカスミソウとは異なり、背丈が低く横に広がる性質を持つ多年草です。地植えで群生させると、株同士がつながってまるで花のじゅうたんのような景観を作ることができます。
この植物の特性や、どの季節にどのように花が咲き、どのような方法で増やすのが効率的かを理解しておくと、植え付け後の管理がぐっと楽になります。
まずは、カーペットカスミソウが好む環境や土質、水やりの基本イメージをつかみ、そのうえで開花サイクルと増やし方の選択肢を整理しておきましょう。地植えに向く理由や、グランドカバーとして使う際のメリットと注意点も合わせて知っておくことで、庭の設計にも活かせます。
カーペットカスミソウとはどんな植物か
カーペットカスミソウは、ナデシコ科に属する多年草で、流通名として使われることが多い名称です。園芸店では、宿根カスミソウや這性カスミソウと表記されている場合もあります。草丈はおおよそ10~20センチ程度と低く、茎を横に伸ばしながらマット状に広がるのが大きな特徴です。
花は春から初夏にかけて小さな白花が密に咲き、品種によっては淡いピンク色もあります。細かな花が無数に咲くため、離れて見ると白い雲のようにふんわりした印象になります。耐寒性・耐暑性ともに比較的高く、温暖地であれば戸外での越冬も十分可能なため、庭植えのグランドカバーとして扱いやすい植物です。
一方で、高温多湿にはやや弱く、風通しが悪く水はけの悪い場所では蒸れて傷みやすいという弱点もあります。多年草ではありますが、環境によっては短命になりやすいこともあるため、適切な場所選びと定期的な更新を行うことで、長く美しい群生を維持するのがポイントです。
地植えに向く理由と鉢植えとの違い
カーペットカスミソウは、横に広がる性質が強いため、地植えの方が持ち味を発揮しやすい植物です。根も浅く広く張るタイプで、広い範囲に株を増やしたい場合には土面の制約が少ない地植えが圧倒的に有利です。
鉢植えでは、限られたスペースの中で根づまりを起こしやすく、夏場に乾き過ぎたり、逆に水のやり過ぎで根腐れを起こしたりと、管理の難易度がやや上がります。それに対して地植えでは、土中の水分変動が穏やかになり、株にとってストレスが少なくなります。
また、グランドカバーとして利用する場合、雑草抑制効果や土の流出防止にも役立ちます。日当たりの良い花壇の縁取りや、背の高い多年草の足元、低木の間などに植えると、他の植物との相性も良く、植栽全体の密度や完成度を高めてくれます。ただし、鉢植えは移動が容易で、雨の多い時期や真夏の直射日光を避けやすいというメリットもあるため、小さな庭やベランダでは鉢植え、庭に余裕があれば地植えと、環境に合わせて使い分けると良いでしょう。
開花時期と年間の生育サイクルのイメージ
カーペットカスミソウの主な開花時期は、地域にもよりますが、おおむね4月下旬から6月頃までです。春の気温上昇とともに新芽が勢いよく伸び、小さなつぼみを多数つけて、一斉に白い花を咲かせます。適した環境で育てれば、一度の開花期に長く花を楽しむことができ、剪定のタイミングによっては二番花が見られることもあります。
夏は高温多湿で株が弱りやすい時期となり、花数は減少し、生育も一時的に緩慢になります。ただし、風通しが良くやや乾き気味の環境に置くことで、夏越しの成功率は大きく高まります。
秋に気温が下がり始めると再び新芽が動き、株が充実していきます。冬は地上部がやや傷んだように見えることがありますが、根が生きていれば春に再び芽吹きます。積雪の多い地域では、雪が防寒の役割を果たすこともありますが、冷たい風が強く当たる場所では、霜よけや敷きわらなどで株元を保護すると安心です。この年間サイクルを理解しておくと、どの時期に植え付けや更新、株分け・挿し木を行うべきか判断しやすくなります。
カーペットカスミソウの地植えに適した環境と土づくり

カーペットカスミソウを地植えで健全に育てるためには、日当たりと風通し、水はけの3つの条件を満たす場所選びが重要です。多少の環境の違いには耐えますが、本来のボリューム感のある花付きや、密度の高いグランドカバーに仕上げるには、スタート時点での環境設定が仕上がりを大きく左右します。
庭全体の中で、どこが最も日照に恵まれ、かつ水がたまりにくいかを観察し、そのうえでカーペットカスミソウを配置するのがおすすめです。
さらに、植え穴を掘る前に土壌の性質を把握し、必要に応じて改良を行うことで、根の張りが良くなり、植え付け後の管理も楽になります。特に粘土質で重い土や、逆に砂っぽく乾き過ぎる土は、そのままでは生育不良の原因になりますので、腐葉土や赤玉土などを用いて、水はけと保水性のバランスを取ることが大切です。
日当たり・風通しの条件
カーペットカスミソウは、本来日当たりの良い環境を好む植物です。理想は、一日のうち少なくとも4~5時間以上、直射日光が当たる場所です。日照が不足すると、節間が間延びして株姿が乱れ、花つきも極端に悪くなります。
一方、真夏の西日は株に負担がかかることがありますので、夏場だけは背の高い植物の影になるような場所や、午前中によく日が当たり午後はやや日陰になる場所が特に向いています。
風通しについても重要で、湿度が高く風が抜けにくい場所では、特に梅雨から夏にかけて株が蒸れて枯れ込む原因になります。建物の北側のような終日湿っぽい場所は避け、家と家の間でも、風の通り道になっている位置を選ぶと良いでしょう。密植し過ぎると、せっかく風通しの良い場所でも株元に湿気がこもるため、植え付け時の株間も意識する必要があります。
適した土質とpHの目安
カーペットカスミソウは、水はけが良く、ほどよく保水力のある中性から弱アルカリ性の土壌を好みます。一般的な庭土が弱酸性に傾いている場合が多いので、必要に応じて石灰を施し、pHを調整しておくと根張りが良くなります。
特に粘土質で重い土の場合、水が停滞しやすく根腐れの原因となるため、粗めの川砂や軽石、赤玉土を混ぜ込んで通気性を高めることが重要です。また、腐葉土や完熟堆肥を加えることで、土中の微生物が増え、ふかふかとした団粒構造の土に近づけることができます。
極端なやせ地や砂地では、水と肥料がすぐに流れ出てしまい、生育が不安定になりがちです。その場合は、有機質の多い培養土を庭土に混ぜ込み、保水性と養分保持力を補ってあげましょう。市販の草花用培養土を用いるのも有効ですが、その際も水はけをさらに良くする目的で赤玉土小粒などを2~3割ほどブレンドすると、カーペットカスミソウには適した環境になります。
植え付け前の土づくりと元肥
植え付けの2週間前を目安に、スコップで30センチ程度の深さまで土をよく耕し、土の塊をほぐしておきます。その際、腐葉土や完熟堆肥を全体に混ぜ、土の量に対して2~3割程度を目安にすき込みます。これにより、保水性と通気性が改善され、根がストレスなく伸びられる環境が整います。
併せて、苦土石灰を適量混ぜておくと、酸性に傾いた土のpH調整とカルシウム補給に役立ちます。石灰は施用後すぐに植え付けを行うと根に悪影響が出ることがあるため、1~2週間ほど間隔をあけてから苗を植えると良いでしょう。
元肥としては、ゆっくり効くタイプの緩効性化成肥料を、規定量を守って全体に混ぜ込んでおくのが基本です。窒素分が多過ぎると、徒長や病害を招きやすくなるため、花もの草花用のバランス型の肥料を選ぶと安心です。元肥をしっかり施しておけば、植え付け後しばらくは追肥が不要となり、根が新しい環境に順応することに集中できます。
カーペットカスミソウの地植え方法と植え付け時期

カーペットカスミソウを地植えする際は、適した季節を選び、苗の状態を確認しながらていねいに植え付けることが、その後の生育を左右します。園芸店で購入したポット苗をそのまま植えるケースが一般的ですが、セル苗や小さなポットの場合は特に、根鉢の扱いに注意が必要です。
植え付け時期を外すと、根が活着する前に高温期や寒波を迎えてしまい、株が弱る原因になります。地域の気候も考慮しつつ、無理のないタイミングを選ぶことが成功の近道です。
また、地植え後にすぐに水切れしてしまわないよう、植え穴の大きさや水やりのタイミングにも配慮する必要があります。ここでは、具体的な植え付け手順と、よくある失敗パターン、その予防策について詳しく解説します。
植え付けに最適な季節と地域差
カーペットカスミソウの地植えに適した時期は、一般的に春と秋です。春植えであれば、地温が上がり始める3月下旬から5月頃までが目安となります。寒冷地では遅霜の心配がなくなってから、暖地では真夏の高温期にかからないよう、やや早めに植え付けを済ませると良いでしょう。
秋植えでは、9月中旬から10月頃が適期です。この時期に植えると、冬までに根がある程度まで張り、翌春の開花に向けて株を充実させることができます。ただし、寒冷地で冬の冷え込みが厳しい地域では、秋植えが遅れると、根が十分に伸びる前に地温が下がり、越冬に失敗するリスクが上がります。
暖地では、秋植えの方が夏越しを一度クリアした丈夫な苗を用いやすく、その後の定着もスムーズな傾向があります。真夏と真冬の極端な時期を避け、植え付け後しばらく穏やかな気候が続く時期を狙うという考え方を持つと、地域差を問わず応用が利きます。
苗の選び方と植え付けの手順
良い苗を選ぶことは、その後の生育に直結します。株元がしっかりしており、葉色が濃く、病斑や黄変の少ない苗を選びましょう。根鉢の裏側から白い根が軽くのぞく程度で、鉢底から大きくはみ出していないものが理想です。
植え付けの際は、まず、ポットより一回り大きい植え穴を掘り、事前に用意した改良土を少し戻して、苗の高さが周囲の地面とほぼ同じか、わずかに高くなるよう調整します。水はけの悪い場所では、浅い高畝状にしてやや高植えにすると、根腐れ防止に効果的です。
次に、ポットから苗を優しく抜き、根鉢の外側を軽くほぐします。根が強く巻いている場合は、外周に浅い切れ込みを数カ所入れて、根が外側に伸びやすいようにしてから植えます。植え穴に苗を置き、隙間に土を入れながら軽く押さえて株を安定させます。植え付け後は、株元にたっぷりと水を与え、土と根を密着させることが大切です。
株間・レイアウトの考え方
カーペットカスミソウを地面一面に広げたい場合、株間の取り方が重要になります。一般的な目安としては、株間15~20センチ程度で植えると、1~2年で隙間なく美しいカーペット状に広がります。植え付け直後に隙間を気にして詰め過ぎると、風通しが悪くなり、特に梅雨から夏にかけて蒸れやすくなるため注意が必要です。
レイアウトとしては、花壇の前縁や通路沿いに帯状に植える方法、広い面積で一面を覆う方法、宿根草ボーダーの足元にリボン状に配置する方法などがあります。背の高い宿根草や低木との組み合わせでは、手前にカーペットカスミソウを配置することで、全体の高さのバランスが良くなり、花壇に奥行きが生まれます。
色使いの面では、白花はどの色の花とも相性が良く、他の花色を引き立てる役割を果たします。ピンク花の品種を組み合わせると、やわらかい雰囲気の花壇になります。異なる品種を混植する際は、成長速度や草丈に違いが出ることもあるため、植え付け前にラベルなどで特徴を確認しておくと、仕上がりのイメージがしやすくなります。
ポイント
植え付け直後は、地上部よりも根を育てる時期です。肥料を与え過ぎず、水やりと日当たりのバランスを整えて、しっかり活着させることを意識しましょう。
開花時期ごとの管理と花を長く楽しむコツ
カーペットカスミソウは開花期自体が比較的長い植物ですが、管理の仕方によって花のボリュームや開花期間は大きく変わります。特に、つぼみが上がり始める前後の水やりや肥培管理、開花中の切り戻しや花がら摘みは、次の花芽形成にも影響します。
また、季節ごとの気候条件に合わせた管理を行うことで、夏のダメージや冬の寒さから株を守り、翌年以降も安定して花を楽しむことができます。ここでは、春・夏・秋冬の3つのシーズンに分けて、具体的な管理のポイントを整理します。
管理作業は難しいものではありませんが、タイミングを外すと効果が半減してしまいます。年間の流れをイメージし、前もって作業の目安を把握しておくことが、効率よく美しいカーペット状態を維持する秘訣です。
春の生育スタートから開花前までの管理
冬を越した株は、早春になると株元から新芽を吹き始めます。この時期には、株元にたまった落ち葉や枯れ葉を取り除き、風通しを良くしておきます。新芽を傷つけないよう注意しながら、手で優しくかき出すように掃除すると良いでしょう。
気温が安定してきたら、株元から10センチほど離して、緩効性化成肥料を少量ばらまきます。過剰な施肥は不要で、あくまで春の生育を後押しする程度で十分です。その後、水やりは自然降雨を基本とし、極端に乾燥が続く場合に限って補うようにします。
つぼみが上がり始めると、水切れは花数減少の原因になりますので、特に春先に風の強い日が続くときは注意が必要です。地表が白っぽく乾き、指を入れても湿り気を感じない場合は、午前中の早い時間帯に株元へたっぷりと水を与えます。葉の上から勢いよく水をかけると、病気の誘発要因となるため、できるだけ株元潅水を心がけてください。
開花最盛期の水やり・肥料・花がら摘み
カーペットカスミソウの開花最盛期には、株全体が小花で覆われ、見応えのある景観になります。この時期の水やりは、過不足ない管理が重要です。晴天が続き、土の表面が乾くようであれば、1~2日に1回程度、朝にたっぷりと水を与えます。一方で、雨の多い時期は、過湿により根が傷むこともあるため、鉢植えであれば雨を避ける工夫が有効ですが、地植えでは植え付け時の水はけ改善がここで効いてきます。
肥料については、開花中に液体肥料を控えめに与えることで、花持ちを良くすることができますが、多肥は株を弱らせる原因となるため、頻度は2週に1回程度までにとどめるのが無難です。
花が咲き進むと、徐々に色あせた花が目立ってきます。そのまま放置すると、株全体がくすんで見えるだけでなく、株のエネルギーが種子形成に回ってしまい、次の花芽形成が鈍くなります。そこで、全体の3割程度が咲き終わったと感じた段階で、株全体を軽く刈り込むように切り戻すと、脇芽が伸びて二番花が期待できます。刈り込み後は、追肥と水やりで回復を助けると、株のリフレッシュにつながります。
夏越しのポイントと蒸れ対策
カーペットカスミソウにとって、日本の高温多湿の夏は最もストレスの大きい季節です。特に、梅雨から真夏にかけては、蒸れと高温による根のダメージが重なりやすく、枯れ込みやすい時期となります。
夏越しのコツは、梅雨入り前に株を軽く刈り込んでおき、内部まで風が通るようにしておくことです。古い枝や枯れ込んだ部分を取り除き、ややコンパクトな状態に整えることで、雨による蒸れを軽減できます。また、地表面を覆うマルチングは、場合によっては過湿を助長するため、夏場のみ控えるか、極薄くするなど調整が必要です。
水やりも、真夏は朝または夕方に行い、日中の炎天下での潅水は避けます。乾燥が心配であっても、常に湿った状態を保つのではなく、表土が乾いてから与えるメリハリが重要です。どうしても西日の強い場所では、落葉低木の陰になるような配置を工夫したり、状況によっては一時的に遮光ネットを用いることで、株の負担を軽減できます。
秋冬の管理と翌年への備え
夏の暑さが和らぎ、秋風が吹く頃になると、カーペットカスミソウは再び緩やかに生育を再開します。この時期には、夏に傷んだ枝や枯れ葉を取り除き、軽く整枝しておくと、株元への日当たりと風通しが良くなります。
秋のうちに、一度だけ緩効性の化成肥料を控えめに施し、冬に備えて株を充実させておきます。ただし、窒素分の多い肥料を多量に与えると、軟弱な新芽が伸びて寒さに弱くなるため、量は控えめにしておくのが安全です。
冬季は、多くの地域で戸外越冬が可能ですが、寒風の当たりやすい場所では、株元に落ち葉やワラを軽くかけて霜よけにすると安心です。積雪地帯では、雪そのものが保温材の役割を果たす反面、雪解け時期の過湿には注意が必要です。春先に雪が解けたら、できるだけ早く株元の状態を確認し、必要に応じて軽い刈り込みと掃除を行うことで、翌春の開花につながります。
カーペットカスミソウの増やし方|株分け・挿し木・種まき

カーペットカスミソウは、多年草でありながら、環境によっては数年で株が老化し、中心部から枯れ込みやすくなることがあります。そのため、数年ごとに株を更新しながら増やしていくことで、常に若くて勢いのある群生を保つことができます。
増やし方には、株分け、挿し木、種まきの3つが主な方法として挙げられます。それぞれに適した時期や手順があり、目的や栽培環境によって使い分けることで、効率よく株数を増やすことが可能です。
ここでは、家庭で実践しやすい方法から、少しステップアップした増やし方まで、ポイントを押さえて解説します。いずれの方法でも、親株の状態や清潔な用土の使用が成功率を左右しますので、基本を丁寧に守ることが大切です。
株分けで増やす方法と適期
株分けは、比較的簡単で成功率も高い増やし方です。地上部が大きく広がった株をいくつかに分けて植え直すことで、新しい株として更新することができます。
適期は、春の芽吹き前後(3~4月頃)か、秋の気温が落ち着いた頃(10月前後)です。真夏や真冬の株分けは、株への負担が大きく、失敗の原因となるため避けてください。
作業手順としては、まずスコップで株の周りを深めに掘り起こし、できるだけ根を傷つけないよう大きめの塊として掘り上げます。その後、手や清潔なナイフで、根のついた部分ごとに分割します。1株あたり、いくつかの芽と十分な根が残るように意識し、あまり小さく分け過ぎないことがポイントです。分けた株は、あらかじめ準備しておいた植え穴にすぐに植え付け、たっぷりと水を与えて活着を促します。
挿し木で増やすコツと手順
挿し木は、親株と同じ性質を持つクローン株を増やせる方法で、特にお気に入りの品種を数多く増やしたい場合に有効です。適期は、春から初夏(5~6月)と、秋の前半(9月頃)です。
伸びた茎の中から、病気や傷のない健全な部分を選び、先端から10センチ前後の長さで切り取ります。下葉を取り除き、挿し込む部分の節を露出させることで、発根がスムーズになります。必要に応じて発根促進剤を切り口につけても構いません。
挿し床には、水はけが良く清潔な用土を使用します。赤玉土小粒や挿し木専用土などが適しています。切り口を用土に挿し込み、軽く押さえて安定させたら、たっぷりと水を与え、明るい日陰で管理します。直射日光は避けつつ、風通しを確保し、用土が乾き過ぎないように適宜霧吹きなどで保湿します。数週間から1カ月ほどで発根し、新芽が出てきたら順化させてから地植えや鉢上げを行います。
種まきによる増殖のポイント
種まきは、多数の苗を一度に確保したい場合に向く方法です。カーペットカスミソウは品種によっては自家採種も可能ですが、交雑により親株と異なる性質が現れることもあるため、ラベル付きの種子を用いると、性質が安定しやすくなります。
種まきの適期は、春まきなら3~4月、秋まきなら9~10月頃です。発芽適温はおおよそ15~20度前後で、極端な高温や低温下では発芽率が下がります。育苗トレイや浅い鉢に清潔な種まき用土を入れ、表面を平らにならしたうえで、種を重ならないようにまき、極薄く土をかけます。
まき終えたら霧吹きなどでやさしく湿らせ、乾燥を防ぐために新聞紙を軽くかけて明るい日陰に置きます。発芽後は新聞紙を外し、徒長を防ぐために明るい場所で管理します。本葉が2~3枚になったら、根を傷つけないよう注意しながらポットに仮植えし、さらに育ててから地植えにします。種まきは時間と手間がかかりますが、苗の段階から環境に慣らすことができるため、定着後は丈夫に育つことが多い方法です。
各増やし方のメリット・デメリット比較
株分け・挿し木・種まきには、それぞれ特徴があります。目的に応じて使い分けるために、簡単な比較表にまとめます。
| 方法 | 難易度 | 増える数 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 株分け | やさしい | 中程度 | 親株と同じ性質で、早く開花しやすい | 適期を外すと株への負担が大きい |
| 挿し木 | やや中級 | 多め | お気に入りの株をまとめて増やせる | 清潔な用土と保湿管理が必要 |
| 種まき | 中級 | 非常に多い | 一度にたくさんの苗を確保できる | 開花まで時間がかかることがある |
初心者の方には、まず株分けから挑戦し、慣れてきたら挿し木や種まきにステップアップする流れがおすすめです。
よくあるトラブルと対処法|枯れる・広がらない場合
カーペットカスミソウは比較的育てやすい植物ですが、環境や管理が合わないと、思うように広がらなかったり、急に枯れ込んだりすることがあります。原因を正しく判断し、早めに対処することで、多くのトラブルはリカバリーが可能です。
ここでは、地植え栽培でよく見られる症状と、その背景にある原因、具体的な対処法を整理します。症状だけを見て水や肥料を増やすと、かえって悪化することがあるため、状況を冷静に観察することが大切です。
なお、病害虫に関しては、地域や年による発生の差が大きいですが、基本的な予防と早期発見のポイントを押さえておくことで、大きな被害を防ぐことができます。日常的な観察と軽いメンテナンスが、結果として最も有効なトラブル対策になります。
根腐れ・蒸れによる枯れ込み
梅雨時や長雨の後、株の中心から茶色く枯れ込み、葉がしおれたようになる場合、多くは根腐れや蒸れが原因です。水はけの悪い場所や、密植し過ぎた環境で発生しやすくなります。
対処法としては、まず、枯れた部分や明らかに軟らかく腐った茎を清潔なハサミで切り取り、風通しを確保します。同時に、周囲の土を軽くほぐし、水はけを改善できるようであれば、川砂や軽石を表層に混ぜ込むなどの工夫も有効です。
ひどい場合は、まだ元気な部分を選んで掘り上げ、別の水はけの良い場所に移植したり、挿し木で救済を図ることも選択肢になります。特に、同じ場所で何度も根腐れが起きる場合は、その場所自体が湿り過ぎの傾向にあるため、他の植物に植え替えることも検討しましょう。
日照不足・肥料不足で広がらない場合
いつまでたっても株が大きくならず、花数も少ない場合、日照不足と肥料不足が疑われます。周囲に背の高い植物や建物が増えて、当初より日当たりが悪くなっているケースも少なくありません。
このような場合は、まず日照状況を改めて観察し、必要であればより日当たりの良い場所に移植することを検討します。カーペットカスミソウは、移植にやや弱い面もありますが、適期に丁寧に行えば十分に対応可能です。
また、極端にやせた土では、元肥が切れたタイミングで生育が止まってしまうことがあります。春と秋に控えめな追肥を行い、徐々に株を充実させることで、時間はかかっても着実に広がりを取り戻せます。ただし、多肥にすると徒長や病気を招きやすいため、やや物足りない程度を心がけるのが安全です。
病害虫の発生と予防のポイント
カーペットカスミソウは、比較的病害虫に強い部類ですが、過湿や栄養不足、風通しの悪さが重なると、うどんこ病や灰色かび病などのカビ性の病気が発生することがあります。葉に白い粉をまぶしたような症状や、花や蕾に灰色のカビがつく症状が見られたら、早めに病葉を取り除き、株全体の風通しを改善します。
害虫としては、アブラムシが新芽や蕾に群がることがあり、放置すると生育を阻害し、ウイルス病の媒介となる場合もあります。少数であれば手でつぶしたり、水で軽く洗い流すことで対応できますが、多発するようなら、園芸用の薬剤をラベルに従って適切に使用します。
予防の基本は、前述の通り環境整備と適度な栄養管理です。密植を避け、枯葉をこまめに取り除き、過湿を防ぐことで、多くの病害虫は発生しにくくなります。また、新しい苗を導入する際には、葉裏や株元をよく観察し、問題のないものを選ぶよう心がけましょう。
まとめ
カーペットカスミソウは、適した環境と最低限のポイントを押さえれば、地植えで長く楽しめる宿根草です。日当たりと水はけの良い場所を選び、植え付け前にしっかりと土づくりを行うことで、根の張りが良くなり、美しい花のカーペットを実現しやすくなります。
開花時期は主に春から初夏で、適切な水やりと軽い追肥、花がら摘みや切り戻しを行うことで、花期を長く楽しむことができます。また、夏越しと冬越しのポイントを押さえることで、年々株が充実し、庭全体の完成度も高まります。
増やし方としては、株分け、挿し木、種まきの三つがあり、それぞれにメリットがあります。特に、株分けは手軽で成功しやすい方法としておすすめです。トラブルが起きた際も、原因を見極めて適切に対処すれば、リカバリーは十分可能です。
庭のグランドカバーとして、花壇の前縁として、あるいは他の宿根草の足元を彩るパートナーとして、カーペットカスミソウを上手に取り入れれば、四季を通じて表情豊かな庭づくりを楽しめます。条件に合った場所を選び、本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ地植え栽培に挑戦してみてください。