水中で育てられる苔の種類と特徴【活着方法も解説】

園芸・ガーデニング

ガラス越しにゆらぐ緑の苔は、水槽レイアウトの雰囲気を一気に高めてくれます。
しかし、陸上の苔と違い、水中で長期維持できる苔は種類が限られており、選び方を間違えるとすぐに溶けたりコケまみれになってしまいます。
この記事では、水中で育てられる代表的な苔の種類と特徴、水槽での管理ポイント、流木や石への活着テクニックまで、初めての方にも分かりやすく整理して解説します。

これから苔レイアウト水槽を始めたい方はもちろん、すでに苔を使っているけれど調子が上がらない方にも役立つ内容になっています。
水中苔を上手に使いこなして、長く楽しめる美しい水景作りに役立ててください。

目次

水中 苔 種類の基本と陸生苔との違い

ひと口に苔といっても、陸上で育つ陸生苔と、水槽内で長期維持できる水中苔では性質が大きく異なります。
園芸店の苔玉や盆栽に使われる苔を、そのまま水槽に沈めても、多くは数日から数週間で腐敗してしまいます。これは、陸生苔が水中生活に適応しておらず、光合成や呼吸、構造が水中環境に合っていないためです。

一方で、水中で安定して育つ苔の種類は、アクアリウム用として流通する限られたグループです。
ミズゴケのような湿地性の植物や、ウィローモスなどの水生苔・苔状植物が代表例で、これらは水中でも葉や茎を維持しながら成長します。
この違いを理解せずに選ぶと失敗しやすいため、まずは水中向きかどうかの見極めが大切になります。

水中で維持できる苔の定義

水中で維持できる苔とは、水没状態を前提として長期間生存・成長できる種類を指します。
一時的に水没させても枯れないものと、完全に水中で生育を続けられるものは意味が異なります。アクアリウムで扱う場合、少なくとも数か月以上、レイアウトとして形を保ち、成長が確認できるものが実用的です。

例えばウィローモス、ジャワモス、クリスマスモスなどは、水中で新芽を出しながら増えていくため、水槽内のレイアウト素材として扱いやすい苔です。
一方で、山野草鉢に使うハイゴケやスナゴケなどは、霧吹きで表面を湿らせる程度なら耐えられますが、完全に沈めると腐敗します。
このように、水中適性は見た目では分かりにくいため、アクアリウム向けとして実績のある苔を選ぶことが重要になります。

陸生苔をそのまま沈めてはいけない理由

陸生苔を水槽に沈めると、多くの場合は内部から腐り、水質を悪化させてしまいます。
陸生苔は、葉や茎の内部に空気を含んだ構造を持ち、水の薄い膜をまとった状態で光合成することに適応しています。そのため、完全に水没した状態では光の取り込みやガス交換がうまくいかず、細胞がダメージを受けてしまいます。

さらに、腐敗が進むとアンモニアや有機物が水中に放出され、熱帯魚やエビに負担をかけるだけでなく、糸状コケなどの発生源にもなります。
見た目がきれいだからといって、苔玉の素材や庭園用の苔をそのまま水槽に入れるのは避けるべきです。
水槽内での安全性と長期維持の観点からも、水中での利用実績がある種類に絞ることが重要です。

ミズゴケは水中用なのか

ミズゴケは名前に水と付きますが、本来は湿地や沼地に自生する湿性植物であり、完全な水没状態を永続的に好むわけではありません。
市販されている乾燥ミズゴケは、洋ランや食虫植物の栽培、挿し木の保水材として広く使われますが、水槽の水中レイアウト素材としてはあまり適していません。

水中に沈めると、一部はしばらく形を保つものの、時間の経過とともに分解が進み、茶色く崩れてきます。
また、分解に伴って水が黄ばみ、有機物が増えることでコケの発生要因にもなります。湿潤な環境に強いことと、水中で長期生存できることは別問題です。
ミズゴケは、パルダリウムやテラリウムの陸上部や湿った壁面での利用に適しており、水中用としては、モス類など別の水中苔を選ぶ方が安定します。

代表的な水中で育てられる苔の種類と特徴

水槽で安定して育てられる水中苔には、いくつかの定番種類があります。
それぞれ成長スピードや葉の形、ボリューム感が異なり、水景の印象を大きく左右します。代表的なものとして、ウィローモス・ジャワモス・クリスマスモス・南米ウィローモス・フレイムモスなどが挙げられます。

水中苔を選ぶ際は、見た目だけでなく、管理のしやすさや水質への要求、トリミングの頻度なども考慮すると、水草管理にかかる手間を抑えられます。
ここでは、アクアリウム初心者から上級者まで幅広く利用されている代表的な水中苔を整理して紹介します。

ウィローモスの特徴と育て方

ウィローモスは、最もポピュラーな水中苔のひとつで、丈夫で育てやすいことから入門種として広く親しまれています。細かい枝分かれをしながらふんわりと広がる姿が特徴で、流木や石に巻き付けると自然感のある藻類被覆のような水景を作れます。

水質への適応範囲が広く、弱酸性から中性の軟水〜中硬水まで育成可能です。
光量が弱くても維持はできますが、適度な光と二酸化炭素添加があると、より密度の高い鮮やかな緑色に育ちます。
トリミングは伸び過ぎて形が崩れてきたタイミングで、ハサミで刈り込むだけで問題ありません。カットした欠片も再利用できるため、増やしたい場合は細かく刻んで別の素材に活着させると良いでしょう。

ジャワモスとの違いと選び方

ジャワモスも古くから流通している水中苔で、ウィローモスと混同されることが多い種類です。
ジャワモスはやや細く繊細な印象で、ランダムに伸びていくため、よりワイルドな雰囲気のレイアウトに向きます。一方で、ウィローモスの方が枝分かれがはっきりしてボリュームが出やすく、まとまりのあるシルエットになりやすい傾向があります。

育成難易度としてはどちらも比較的丈夫ですが、ジャワモスはややコケ(藻類)に覆われやすいと感じるアクアリストもいます。
水槽全体の雰囲気がナチュラルで少し荒々しい岩組みなどならジャワモス、丸みを帯びた流木レイアウトや小型水槽でシンプルにまとめたい場合はウィローモスという選び方も有効です。
見分けがつきにくい場合は、ショップのラベル表示や説明を参考にして選ぶと安心です。

クリスマスモス、南米ウィローモスなど人気種

クリスマスモスは、三角形の枝が重なり合うように広がる姿が特徴で、名前の通りクリスマスツリーを連想させるシルエットになります。
垂れ下がるように成長しやすいため、流木の枝先から下方向に伸ばすと、美しい垂れ下がりレイアウトを作れます。

南米ウィローモスは、より繊細でソフトな印象の水中苔で、葉が細かく、ふわっと丸みのある塊を作りやすい種類です。
成長スピードはウィローモスと比べてややゆっくりで、密度の高いクッション状に仕立てると、小型魚やエビの隠れ家にも適します。
その他、上向きに炎のようなシルエットを作るフレイムモス、網目状のレイアウトに向くスパイキーモスなど、多様な見た目の苔が流通しており、水景のコンセプトに合わせて選ぶことができます。

種類ごとの比較表

代表的な水中苔を比較しやすいよう、特徴を表にまとめます。

種類 見た目の特徴 成長スピード 育成難易度 レイアウト適性
ウィローモス ふんわり広がる定番モス 中程度 非常に易しい 汎用的、初心者向き
ジャワモス やや細くランダムに伸びる 中〜速い 易しい ワイルドな岩組み向き
クリスマスモス 三角形の枝で層を作る やや遅い 中程度 垂れ下がりレイアウト向き
南米ウィローモス 繊細で柔らかいクッション状 やや遅い 中程度 前景〜中景のアクセント
フレイムモス 炎のように上向きに伸びる 中程度 中程度 縦方向のアクセント

水中苔を選ぶときのポイントと注意点

水中苔を選ぶ際には、見た目だけでなく、水槽環境との相性やメンテナンス性も重要です。
苔類はほかの水草に比べて丈夫なイメージがありますが、光量や水の流れが極端に不足するとコケ(藻類)に覆われやすくなり、美しさを保つのが難しくなります。

また、販売形態によっても状態の安定度が変わります。流木付きやマット状に活着されたものは設置が容易ですが、自分でレイアウトを組みたい場合は、単体の素の苔を購入して活着させる必要があります。
ここでは、水中苔選びで押さえておきたいポイントと、よくある失敗パターンについて解説します。

水質・水温との相性

多くの水中苔は、弱酸性〜中性付近の軟水環境で最も調子よく育ちます。
水温は20〜26度程度が目安で、高水温が長期間続くと、苔が黄色くなったり、コケ(藻類)が優勢になってしまうことがあります。そのため、熱帯魚水槽でヒーター管理をする場合でも、過度な高温設定は避けた方が無難です。

また、硬度の高い水や強アルカリ性の環境では、苔の生長が緩慢になり、コケ(藻類)に負けやすくなります。
水道水の性質は地域によって差があるため、必要に応じて水質調整剤やピート、ソイルなどを用いて、苔が好む環境を作ることも有効です。
ただし、苔だけでなく一緒に飼育する魚やエビの適正も考慮し、バランスの良い水質を目指すことが大切です。

光量とコケ(藻類)のバランス

水中苔は強光を必要としないとされる一方で、あまりに光量が不足すると、成長が止まりコケ(藻類)に覆われやすくなります。
ポイントは、苔に十分な光を与えつつ、肥料や有機物の過多を防ぐことです。強すぎる光と栄養塩の過多が重なると、糸状コケや黒ひげコケなどが発生し、苔を覆ってしまいます。

苔レイアウト水槽では、中程度の明るさのLED照明を用い、照射時間を1日6〜8時間程度から調整すると良いでしょう。
コケの発生が気になる場合は、照明時間を短縮したり、給餌量を見直すことで改善する場合があります。
また、オトシンクルスやヤマトヌマエビなどのコケ取り生体を導入することも、苔をきれいに維持する助けになります。

活着しやすさとメンテナンス性

水中苔の多くは、根を持たず茎や仮根で流木や石に絡みつきながら活着します。種類によって活着のスピードが異なり、ウィローモスやジャワモスは比較的早く、数週間〜1か月程度で安定してくっつき始めます。

一方、南米ウィローモスや繊細な種類は、活着までやや時間がかかることもあり、その間に剥がれて浮いてしまうことがあります。
活着のしやすさは、後々のメンテナンス性にも影響します。しっかり固定されていれば、トリミングの際にも崩れにくく、レイアウト全体を長く保ちやすくなります。
初めて水中苔に挑戦する場合は、活着が早く丈夫なウィローモス系から始めると扱いやすいでしょう。

購入時に確認したい状態

ショップで水中苔を購入する際は、色と清潔さをよく観察することが大切です。
健康な状態の苔は、濃い緑色〜やや明るい緑色で、先端にかけて透明感があります。茶色く変色している部分や、スケスケに溶けかかっている部分が多い株は、体力が落ちている可能性があります。

また、糸状コケや黒ひげコケが付着していないかもチェックしましょう。
少量なら導入後にエビなどが食べてくれますが、全体的に覆われている場合は、再生させるのに時間がかかります。
可能であれば、組織培養カップなどの清潔な状態で販売されているものを選ぶと、スネールや藻類の混入を抑えやすく、立ち上げ初期のトラブルを減らすことができます。

水中苔のレイアウトアイデアと使い分け

水中苔は、水槽レイアウトの中で非常に汎用性の高い素材です。
前景のグランドカバー、流木や石のアクセント、フィルターや配管の目隠しなど、工夫次第でさまざまな役割を持たせることができます。苔特有の柔らかな質感は、有茎草やロゼット型水草では出せない雰囲気を演出してくれます。

同じ苔でも、種類や巻き方、配置を変えることで、ナチュラルから幻想的な水景まで幅広く表現できます。ここでは、水中苔を効果的に活かすための代表的なレイアウトアイデアを紹介します。

前景を覆うカーペットレイアウト

水中苔をマットや金網に薄く敷き詰め、前景に配置することで、柔らかな苔のカーペットを表現できます。
一般的な前景草に比べて背丈が低く、ゆっくりと横方向に広がるため、小型水槽でも圧迫感が出にくいのが利点です。特に南米ウィローモスや細かなウィローモス系は、密度の高いカーペットを作りやすい種類です。

マットに活着させる際は、厚く盛り過ぎると下層に光が届かず、蒸れたように腐敗してしまうことがあります。
薄く均一に貼り付け、成長とともにボリュームが出てくることを想定して仕立てると、長期的に美しい状態を保ちやすくなります。
トリミングの際には、表面を刈り込む要領で高さを調整すると良いでしょう。

流木や石へのアクセントとしての苔

水中苔と流木や石の組み合わせは、自然感のある水景表現の定番です。
流木の節や枝先、石のくぼみに部分的に苔を活着させることで、長年水に浸かって風化したような雰囲気が生まれます。クリスマスモスの垂れ下がりや、フレイムモスの上向きの伸び方など、種類ごとの性質を活かすと表情が豊かになります。

苔を全面にびっしりと巻き付けるよりも、あえて隙間や地肌を残すことで、素材そのものの質感も楽しめます。
また、石の上面だけに薄く苔を貼り付けると、山岳レイアウトの高山植物帯のような表現も可能です。
部分使いと全面使いを組み合わせて、奥行き感やリズムを持たせると、より完成度の高いレイアウトになります。

小型魚・エビの隠れ家としての活用

水中苔は、見た目の美しさだけでなく、水中生物にとっての住処としても優秀です。
細かな枝や葉の隙間は、稚魚や稚エビの隠れ場所となり、外敵から身を守るシェルターの役割を果たします。また、苔の表面には微生物が多く付着し、エビや稚魚の餌としても利用されます。

特に、ビーシュリンプやチェリーシュリンプの水槽では、水中苔を多めに配置すると、エビが常にツマツマと採餌している様子が観察でき、健康的な飼育環境の一助になります。
ただし、隠れ家として利用させる場合でも、内部まで光が届かないほど密集させると、通水性が悪くなりゴミが溜まりやすくなります。
定期的にトリミングを行い、内部に溜まったデトリタスを掃除することで、隠れ家としての機能と水質の安定を両立できます。

水中苔の活着方法と固定テクニック

水中苔を美しく長期間楽しむためには、流木や石へしっかりと活着させることが欠かせません。
活着が不十分だと、少し触れただけで剥がれたり、水流で舞い上がってしまい、水槽内に苔片が散乱して見た目も悪くなります。適切な固定方法を用いれば、数週間〜数か月後には、自然に絡み付き安定した状態になります。

活着方法には、糸やテグスを使う伝統的なやり方に加え、水草用接着剤を用いる方法も普及しています。それぞれに長所と注意点があるため、レイアウトの目的や素材の形状に合わせて使い分けると良いでしょう。

テグス・糸を使った基本の巻き付け方

最も一般的な方法は、テグス(透明な釣り糸)や水槽用の目立ちにくい糸を使って、苔を素材に巻き付けるやり方です。
まず、苔を薄くほぐして適度な長さに分け、流木や石の表面に均一になるよう乗せます。その上からテグスを、少し引き締める程度の力でぐるぐると巻き付けていきます。

巻き付ける間隔は、苔が剥がれにくい程度に細かくしつつ、重なりすぎて表面を締め付けない程度が理想です。
最後は目立たない位置で結び目を作り、余分な糸をカットします。
時間の経過とともに苔が成長し、糸を覆い隠してくれるため、数か月後には巻き付けていることがほとんど分からなくなります。テグスは半透明なため、水中でも目立ちにくいのが利点です。

水草用接着剤を使う場合のコツ

近年は、水草用の瞬間接着剤を用いて苔を固定する方法も広く利用されています。
接着剤は、細かい部分や凹凸の多い岩肌など、糸を巻き付けにくい場所で特に有効です。ただし、付け過ぎると白い塊が目立ったり、苔の一部が固まってしまうため、少量を点付けするのがポイントです。

手順としては、素材側にごく少量の接着剤を置き、その上に苔を軽く押し当てて数秒キープします。
水に浸けると硬化が進み、固定が完了します。作業中は、手袋やピンセットを使うと指に付きにくくなります。
接着剤で固定した後も、時間が経てば苔自身の活着力で広がっていくため、固定はあくまで初期の保持を目的とするイメージで用いると安全です。

活着にかかる時間と見極め方

水中苔が素材にしっかり活着するまでの期間は、種類や環境によって異なりますが、目安としては約2週間〜2か月程度です。
新芽が素材の表面に沿って伸び始め、軽く触れても動かなくなってきたら、活着が進んでいるサインです。

活着前の段階で乱暴にトリミングしたり、頻繁に位置を動かすと、せっかく出た仮根が切れてしまうことがあります。
設置後1か月程度は、できるだけ触らずに様子を見ると安定しやすくなります。
活着が確認できた後は、巻き付けに使った糸を無理に外す必要はありませんが、どうしても気になる場合は、水中で慎重に一部をカットしながら取り除くことも可能です。

水中苔の管理方法とトラブル対策

水中苔を長期間美しく維持するためには、日々の管理とトラブル対策が欠かせません。
苔そのものは丈夫でも、環境の悪化やコケ(藻類)の発生によって見栄えが損なわれるケースは多くあります。特に、茶ゴケや糸状コケ、黒ひげコケが水中苔の表面を覆ってしまうと、光が遮られ本来の緑が失われてしまいます。

一方で、適切な水換えやトリミング、コケ取り生体の活用により、苔レイアウト水槽は比較的安定した状態を保ちやすいジャンルでもあります。ここでは、日常管理のポイントと、発生しがちなトラブルへの対処法を解説します。

トリミングと掃除のタイミング

水中苔は、放置するとどんどんボリュームが増し、内部に光が届かなくなって枯れ込みが発生します。
また、通水性が悪くなり、ゴミやデトリタスが内部にたまりやすくなるため、定期的なトリミングが重要です。目安としては、設置から1〜2か月ごとに、形やボリュームを見て軽く刈り込んでいきます。

トリミング時には、苔の表面をハサミでカットし、網ですくって浮遊した破片をできるだけ取り除きます。
同時に、プロホースなどで苔の周辺に溜まった汚れを吸い出すと、水質悪化の予防になります。
カットした一部は、新たなレイアウト素材として再利用することもできるため、増殖とメンテナンスを兼ねた作業として考えると良いでしょう。

コケ(藻類)がついたときの対処法

水中苔の表面に茶ゴケや糸状コケが付着した場合、早期に対処することで深刻化を防げます。
軽度であれば、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビ、オトシンクルスなどのコケ取り生体が時間をかけて食べてくれることも多いです。

それでも改善しない場合は、原因となっている光量や照射時間、肥料や給餌量を見直します。
局所的にひどい部分は、ピンセットでつまみ取ったり、トリミングで大胆に切り戻すのも有効です。
黒ひげコケが発生した場合は、苔ごとその部分をカットしてしまう方が早期解決しやすいこともあります。根本的には、水質と栄養バランスの改善が最優先であることを意識して対応しましょう。

溶け・変色が見られたときのチェックポイント

水中苔が白っぽく溶けたり、茶色く変色してきた場合、いくつかの原因が考えられます。
代表的なのは、急激な水質変化、高水温、強すぎる光と栄養バランスの崩れ、あるいは導入時のダメージです。特に立ち上げ直後の水槽では、水質が安定しておらず、敏感な種類の苔が一時的に調子を崩すことがあります。

対処としては、まず水換え頻度を適度に高め、極端な水質変動を防ぐようにします。
ヒーター設定や照明時間も見直し、水温の上がり過ぎや過度な光ストレスを抑えます。
すでに完全に溶けてしまった部分は取り除き、残った健康な部分を優先してケアすることで、時間をかけて再生が期待できます。

初心者におすすめの水中苔セットアップ例

これから水中苔を始める方にとっては、どの苔をどのような水槽で使えばよいのか、具体的なイメージがつきにくいかもしれません。
そこで、初心者でも取り組みやすく管理しやすいセットアップ例をいくつか紹介します。いずれも、特別な器具や高価な素材を使わずに実現できる構成を意識しています。

ポイントは、苔の種類を絞り込み、レイアウトをシンプルにすることです。複数の苔を同時に使うと、成長速度の違いや色味の差でバランスを取るのが難しくなることがあります。まずは一種類から始め、慣れてきたら徐々にレイアウトの幅を広げていくと良いでしょう。

30センチ水槽で楽しむウィローモスレイアウト

最も取り組みやすい例として、30センチクラスの小型水槽に、ウィローモスを中心としたレイアウトを組む方法があります。
底床には扱いやすいソイルを敷き、中央に小さな流木と石を組み合わせ、その表面にウィローモスを薄く巻き付けます。周囲には、アヌビアスナナプチやミクロソリウムなどの陰性水草を少量配置すると、管理が楽で自然感も高まります。

生体は、小型カラシンやメダカ、エビ類など、苔をついばむ習性のある種を組み合わせると、苔表面の清潔さを保つのに役立ちます。
照明は中程度の明るさのLEDで1日6〜7時間程度から始め、コケの出方を見ながら調整します。
この構成なら、初めての方でも比較的安定した環境を維持しやすく、水中苔レイアウトの基礎を学ぶのに適しています。

エビ水槽での苔レイアウトのポイント

ビーシュリンプやチェリーシュリンプなどのエビ水槽では、水中苔は非常に相性の良い素材です。
苔の表面に付着する微生物やバイオフィルムが、エビにとっての自然な餌となるため、健康的な飼育環境づくりに貢献します。

エビ水槽では、ウィローモスや南米ウィローモスを流木や石に活着させ、さらにマット状の苔を底面の一部に配置すると、隠れ家と採餌スペースを兼ねたレイアウトになります。
フィルターは、水流が強すぎないスポンジフィルターや外掛けフィルターを選び、苔が舞い上がらないよう配慮すると良いでしょう。
また、水質の急激な変化はエビにとって大きなストレスとなるため、水換えは少量をこまめに行うのが安全です。

テラリウム・パルダリウムとの併用

水中苔は、水槽の中だけでなく、テラリウムやパルダリウムとの組み合わせでも魅力を発揮します。
一部を水中、別の部分を陸上として構成するレイアウトでは、水中部分にウィローモスや南米ウィローモスを、湿った陸上部分に陸生苔やシダ類を配置すると、自然の渓流や滝壺のような景観を再現できます。

この場合、水中苔と陸生苔の適性を混同しないことが重要です。
水中苔は基本的に水没した部分に限定して利用し、陸上部分に沈めて使わないようにします。逆に、陸生苔を水中部に使うのも避けます。
役割を明確に分けることで、それぞれの植物が持つ本来の美しさを引き出しやすくなり、長期的に安定したビバリウム環境を楽しめます。

まとめ

水中で育てられる苔の種類は、一見するとどれも似ているようでいて、それぞれ成長の仕方や見た目、管理の手間が大きく異なります。
ウィローモスをはじめとする定番種を中心に、水中生活に適応した苔を選ぶことで、長期にわたって安定したレイアウトを維持することができます。一方で、陸生苔やミズゴケをそのまま沈めてしまうと、腐敗や水質悪化につながるリスクがあるため注意が必要です。

水質・水温・光量のバランスを整え、適切な活着方法と定期的なトリミングを行えば、水中苔は初心者でも十分に扱える素材です。
前景のカーペット、流木や石のアクセント、小型魚やエビの隠れ家など、用途も幅広く、水槽レイアウトの表現力を大きく高めてくれます。
まずは一種類の水中苔からでも構いませんので、ご自身の水槽に合った苔を選び、少しずつ慣れながら理想の水景作りに挑戦してみてください。

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